チョコレートでにきび、肌荒れにはならない

 チョコレートの原料はカカオマス、ココアバター、ミルク、砂糖です。この中でもカカオマスとココアバターには、脂肪分が多く含まれています。そして、にきびは毛穴に脂のカスが溜まってできるものです。

 以上のことから、「チョコレートを食べるとにきびができやすい」と言われるようになりましたが、実はこの話に科学的な根拠はありません。

 30人の思春期を迎えた男女と、35人の若い成人男性から成る集団に、チョコレートを食べさせる実験が行われたことがあります。

 市販のチョコレートよりも10倍以上のチョコレートが含まれた「チョコバーA」と、見た目はそっくりなのにチョコレートを全く含んでいない植物性脂肪分の「チョコバーB」が用意されました。

 これらのうち、いずれかを1日に1本ずつ、無作為に被験者に食べてもらいました。これを4週間行ってから、3週間のインターバルを設けた後に、また4週間で今度は前回と違うバーを食べてもらいます。

 最後に皮膚科の専門医が、被験者の顔にあるにきびについて調べました。実験前と実験後で顔の様子を比較したところ、にきびの状態に変化が認められなかったのです。

 被験者が思春期であろうと若い成人であろうとも、摂取したバーのチョコの有無にも関係しませんでした。

 さらに実験は続きます。成人男性5人に先ほどのチョコバーAを1日2本ずつ、1ヶ月に渡って食べてもらいました。その後、被験者の額に生じた皮脂の量を測って、分析をしてみました。

 すると、3人は皮脂の分泌量が増えたものの、残りの2人は低下していたのです。皮脂中に生成された脂肪酸の様子についても、特に変化が見つかりませんでした。